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平成22年度大阪市歳入歳出決算報告の認定に反対いたしました。

議会活動2012年02月08日

去る1月31日、我が会派は、平成22年度大阪市歳入歳出決算報告の認定に反対いたしました。

 

 

 

 

(反対討論を行う広田和美議員)

 

先の決算特別委員会の審査では、市民に大阪市の決算の内容や、実施された施策、事業の結果について、どのような状況にあるのか、また、どこに問題点があるのかを明らかにし、精査することで、今後の本市の施策・事業に活かすべく、5日間にわたり様々な問題点に対する指摘を重ねて参りました。

 

まず、財政問題について申し上げますと、22年度決算の歳出では市政改革に取り組み、全般にわたり見直しを行ったことや、歳入では、その根幹となる市税収入が3年ぶりに増加に転じたことなどにより、引き続き、収支均衡を維持することができた、とのことですが、確かに歳入においては企業収益の回復によって法人市民税が増加し、税収の増加がみられたとはいえ、リーマンショック前の平成20年度と比べますと、市税収入は約450億円も減少しております。また収支の内容をみましても不用な土地の売却代や、蓄積している基金からの繰り入れにより収支不足を補うことで、かろうじて収支均衡を保っているのが現状です。

 

市債については、一般債の発行が大幅に減少したことにより全体では昨年度より85億円の減であったものの、特別債発行額は前年度より98億円の増加、また当年度は発行額が償還額を上回ったため市債残高は前年度より83億円増の計2兆8,135億円と、依然として一般会計歳入決算額を大幅に上回っています。頼みの蓄積基金の残高においても、今後の収支不足額に補填されれば数年のうちに枯渇することが予測されております。

 

昨今の景気動向、昨年の大震災発生による影響から考えましても、しばらくは市税収入の大幅な増収は期待できない状況であるにも係わらず、生活保護費は前年度に比べ196億円増の2,910億円と一般会計の実に17.3%を占めており、市街地再開発事業会計や道路公社、土地信託事業や特定調停団体における財務リスクの問題などで、財政収支は厳しくなる一方で、本市の財政は依然として厳しい状態にあることは変わっていません。

 

22年度は前年度に比べて歳出減を実現、収支均衡が保たれたとはいえ、個々の取り組み内容を見ますと、いまだ多くの問題点を抱えていることは明白です。まず歳入の重要な増収策である未収金対策への取り組みは、納得できるものとはいえない状況です。本市では700億円にも上る未収金に対して、市債権回収対策会議を立ち上げ、収納率の向上を図られていますが、残念ながら過年度分の収納率は、2割を割り込む低水準に留まっているものが多く、十分な収納作業が進んでいるとは思えません。例えば、国保料では、21年度の未収金298億円に対して、22年度に徴収した額は現年度分も合わせても27億円に留まっており、回収率にすると1割にも到達しておりません。また時効等の成立による不納欠損処理額も深刻な問題です。23年5月時点で時効等による債権消滅は167億9千万円にも上っています。時効で消滅する債権を放置しているために、今のところは社会問題となっておりませんが、1年分だけでも167億円の未収金が不納欠損処理となったわけですから、単純計算すれば10年間で1,700億円近い巨額な歳入が消滅していくことになります。これは時効中断による未収金の積み上げを嫌った、いわゆるお役所仕事の結果としか思えません。22年度の債権回収対策は、未収金に対する認識、収納計画とも極めて甘いものであったといわざるを得ませんが、橋下市長のもと、新たな未収金対策組織を検討していただけるとのことですので、その効果に大いに期待したいと思います。

 

今回の決算での指摘事項に、財団法人大阪市教育振興公社への児童いきいき放課後事業34億4千万円もの特命随意契約での発注の問題がありましたが、国及び府でも外郭団体への特命随意契約方式は、競争原理が働かず、不効率極まりない方式であるため、抜本的な見直しの必要性が強調されているにも関わらず、漫然と随意契約を繰り返した姿勢を、断じて認めるわけにはまいりません。

 

また、地域振興会等への交付金円が、使途の報告や領収証の添付、収支報告を必要としない点についても我が会派から指摘いたしました。官房機密費や国家防衛関係の支出でもあるまいし、領収証の添付及び使途の報告、あまつさえ収支の報告すら必要ないというこの状態は、国から地方に予算を渡すと歯止めのない無駄遣いを放置するという古くからの指摘そのままであり、地域主権の確立を目指している他の志高い自治体の思いをないがしろにするものであります。また、こうした制約のない公金を支出までして行った事業については、別途適切なチェックを行うことが、日本を代表する政令指定都市・大阪市として当然のことと考えますが、現実はどうでしょうか。公費を支出しているにもかかわらず、本市は使途の確認・効果の測定という必要作業を怠っているのではないでしょうか。

更に、地域振興会を用い、政治活動を行っていたことは許しがたい行為です。

これでは、純粋にボランティアで活動している方々の貢献に対する敬意が感じられません。純粋に真面目に地域で活動されている方への感謝の気持ちもなく、使途の確認も行われていない公金支出は認めるわけにはいきません。

 

次に労働組合への事務室提供についての過度の便宜供与について指摘いたしました。

労働組合法第7条第3項では「労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること」を不当労働行為として禁止しています。現在の本庁舎での組合事務所の占める面積、賃貸室料の減免については、そもそもコンプライアンス上の問題があると考えております。ましてや、庁舎内の組合事務所で政治活動を行うなど、言語道断であります。

 

次に固定資産税の減免が、特定団体等に極めて不明朗に決定されていたり、同一マンションでも課税額が異なるといった減免納税者間の公平性を著しく欠いた形となっていることを指摘いたしました。行政運営の円滑化、行政の申請主義の建前について、一定の理解をする余地はあるとしても、結果的に行政の対応がはなはだしい不均衡、不公平となっていること、また、固定資産税の賦課決定のあり方については、都市の発展や変化に職員や専門家の体制が対応できていない根本的な問題があります。こうした問題が市民から気づかれない形で生まれ、改善されないまま経過し、矛盾に気づいた一部市民の声をクレームとして部分的に対応するという現状は、行政の体制不備の結果、素直で従順な市民が損をするという不公平な扱いになっており、自治体と首長の監視役としての議員の立場からはどうしても看過することはできません。

 

また、円高により国際競争力が大幅に低下し、売上高や利益が大きく減少する中、金融円滑化法の延長の取りやめなどもあり、事業継続を諦めざるを得ない状況に直面している民間企業が増加しております。

一方、本市においては、過去の実績とかけ離れた予算を見積もり、それに見合うように市債発行等の財源確保をし、明らかに決算が予算と大幅に食い違うことを認識していながら補正予算による減額補正もせず、多額の乖離を生じさせております。

 

例えば、人件費について申し上げますと、全ての会計において、実際の退職者数は、予算時に予定していた退職者数よりも、大幅に少なく、自治体においては、民間と違って、退職金の引き当てを行っていないため、退職金をその都度、費用計上しています。結果、退職者が予算より少なく、決算上は人件費が削減されて、費用が下がっています。これは意図的に余剰を多くすることで、予算目標を超える経営成果を達成しているように見せかけているだけの、まやかしです。

 

余剰が多いことになんの問題があるのかという感覚は、市民の代表として本日をもって改めて頂くことをお願い致します。こうした感覚の下では、予算の立案・執行を、市民感覚で効率的に行っているとは、考えられません。

 

そして、これまで事業評価を積み重ねてきていながら、その対象は予算全体からすると数%に過ぎない特定の施策・事業にしか適用しておらず、予算全体について、有効性の乏しい施策・事業には、1円のお金も使うべきではないという意識での評価が行われておりません。国家の財政破綻の可能性を政府自らが公言し、新たな税負担に理解を求めている状況の中で、効率的な公金使用の意識が貫徹していない現状を看過することはできません。

 

こうした点から、平成22年度大阪市歳入歳出決算報告の認定には反対いたしました。