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「関西電力管内の原子力発電所の稼働に関する大阪市民投票条例案」への反対討論を行いました。

議会活動2012年03月29日

平成24年3月27日の本会議において、我が会派の守島正議員が、「関西電力管内の原子力発電所の稼働に関する大阪市民投票条例案」に対する反対討論を行いました。

 

以下、反対討論の内容です。

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 私は大阪維新の会大阪市会議員団を代表し、市民の直接請求により本市会に上程されました議案第166号「関西電力管内の原子力発電所の稼働に関する大阪市民投票条例案」に反対の立場から討論いたします。
まずこの度の55,428名もの有効署名を集められた皆様の運動及び尽力には敬意を表します。この間の活動も踏まえ、市民の直接政治参加への想いも認識させて頂きました。
しかしながら、この原子力発電の稼働に関することに限定された住民投票に関して、まずご認識いただきたいのは、地方自治体そのものとしては電力会社に対する一切の強制力は持たないということです。大阪市としては市民の安心・安全を守るために、関西電力への情報開示などの依頼を鋭意行っておりますが、電力事業そのものを規制する権限は持ちません。
 そのため、本市としては株主として、株主総会の議決に加わるに留まるため、株主提案権を行使して、原子力発電事業に対する事項を株主総会の議題にあげることが、唯一の強制力をもった行動と言えます。
 本市としては、既に脱原発への舵は切っており、株主総会の議題として提案する方法を、現在エネルギー戦略会議の下で練っている最中であります。
関西電力の株主というのは、関電の利害関係者及び配当や短期的な売買利益を望む方々も含まれており、大阪市・神戸市・京都市合わせても約12.5%の株式しか保有しない中、高いハードルを越え、関西電力の経営方針の大転換に向け働きかけていく必要があります。
また、関西電力の情報を鵜呑みにするわけではありませんが、原子力の再稼働がない場合、今年の夏は電力の供給力不足が起こること、またコスト面でも燃料費の増などで4000億円も増えるという試算を出してきた中、我々市民や事業者も、エネルギー需給の在り方について見直すことが求められている状況であるともいえます。
こうした環境下において、単に「原発即時撤廃」や「原発再稼働容認」という意思表明をすることが、必ずしも原子力発電を無くす・もしくは原子力発電への依存を低下させるということに繋がる、最適な方法ではないと感じます。
電力会社の独占企業体質そのものがリスクを顕在化させず、安全性の担保ができなかったことに起因する上、関西電力の高コスト体質や総括原価方式による高電気料金体系を許してきたと考えております。
そのため、我が会派は、関西電力の経営体質を改革すること、また発送電分離による新エネルギーや企業の参加を促し、集中型電源に頼らないですむ環境を作ることで、原発への依存度を下げ、電力市場の供給体制を変えることが脱原発に向けた第一歩だと考えております。
今すぐ、原発をなくしたいという方々の心情も十分に理解させて頂いた上で、我が会派としては本気で原子力行政を変えるべく、脱原発への道筋を模索し、着実に進まなければならないという意志であり、本当に脱原発に向かう必要があるからこそ、関西電力の経営体質の改革や、電力供給の自由化に向け、着実にハードルを越えなければならないと思います。
  また、株主として、提案内容や可決否決の有無などの、実現可能性は関係なく、市民の意思を表明することこそが大事と考えておられる方もいるかもしれませんが、本条例による市民の意思は、原発の賛否を問う、YES・NOだけでしか反映できません。原発問題に対しては、単にYES・NOだけではなく、様々なメニューや工程を提示したうえでの意思表明が必要と感じます。
 戦略のない原発ゼロという提案でなく、原発ゼロに至るまでの工程を考えた上での株主提案を期待しますし、我が会派としても、単なる意思表明でなく、実現可能な政策を議論し、決定していく必要があると考えております。
 さらに、本条例案の具体的なところも指摘させて頂きますと、
 本条例案第5条では投票資格者として永住外国人や満16歳以上の者を認め、さらに第12条第3項の規定では公務員の政治的行為を制限する法律上の規定を適用しないことになっております。こういった重要な条文について、街頭等での署名運動の際にどの程度市民に理解されていたか大いに疑問が残るところであり、本市会での請求代表者の説明もありませんでした。
また、第12条第3項は法律上の根拠なく、条例によって法律の適用を除外するものであり、『法令に違反しない限りにおいて条例を制定することができる』とする地方自治法第14条第1項の規定に抵触するものであり、法的に大きな問題がある規定であります。しかしそれ以上に、起案者自らの主義・主張に関して一般市民の支持を得るがために、公平・中立であるべき公務員を巻き込むことに繋がる可能性を孕み、公務員の政治活動や選挙活動を排除すべきとする我が会派の主張とは相容れないものであります。
これら具体的な条文の問題も見当たる上、本条例案に現実的な効力がないこと、また、脱原発のために実現可能な政策を議論すべきであると考えることから、我が会派は、本大阪市民投票条例案には、反対であり、条文の修正で解決できる問題でもないと考えます。
 よって5億円近い費用をかけて、住民投票を行うよりも、脱原発社会の実現を目指して本市の株主提案方法を議論すべきという見解を表明させて頂くとともに、原発の是非については、一地方自治体の意見表明だけではなく、国全体を巻き込んだ議論にし、国民の判断を仰ぐべきであると申し上げさせて頂きまして、私の反対討論とさせて頂きます。
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