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お知らせ・活動報告

大阪市職員基本条例案を提出いたしました。

2011年10月03日

先日9月30日、大阪維新の会大阪市会議員団は大阪市職員基本条例案を上程いたしました。

 

(結果は公明・自民・OSAKAみらい・共産により否決)

条例案はこちら

大阪市職員基本条例案.pdf

 

 

 

(提案趣旨説明を行う福島真治議員)

 

 

日本国憲法第15条では「公務員の選定・罷免権は国民の権利である」とされています。しかしながら、現在、国においても地方においても公務員制度に関し、不信感や不満が国民、市民の間で蔓延しています。それは民間と比較して、非常に優遇されている組織になってしまい、しかもそれが公金によって支えられているからです。

 

このような公務員制度に対する問題は、組織自体の責任のみならず、それを許容してしまった議会にも責任があります。地方自治体も地方議会も市民に対して不作為の作為に陥ってしまったのです。

 

この条例の目的は、市民からの信頼を取り戻し、公務員組織を公僕とよばれるにふさわしい市民のための組織にすることです。

 

そのために地方公務員法第5条「地方公共団体は、条例で、職員に関する事項について必要な規定を定めるものとする」に従い、公務員組織のあるべき姿において、条例で規定するべきです。

 

年功序列型の人事から能力、実績型の人事制度を導入し、組織の活性化を行う必要があります。また、公務員という身分から職業への大胆な転換が必要です。

 

第1.職員に関して

これまで全ての職員は公務員として特権身分的に扱われてきましたが、幹部クラスは民間企業でいえば役員であり、準特別職として、任期つき採用にすべきです。公募により、組織内外から有能な人材を募り、年功序列制でなく、能力、実績、情熱のある若手職員も抜擢する必要があります。

 

第2.人事評価に関して

地方公務員法第40条「任命権者は、職員の執務について定期的に勤務成績の評定を行い、その評定の結果に応じた措置を講じなければならない。」と定められています。更に、本市においても「新しい大阪市をつくる市政改革基本方針において、「努力した者がより報われる給与制度とするため、人事評価制度の評価結果が給与制度に反映されるよう改善していく」と記載されています。現在、本市において5段階評価が行われています。しかしながら、前年度実績では、行政職員において、課長代理級以上1,860人のうち、Cが1人、Dがゼロ人、係長級以下が1万4,844人のうち、Cが7人、Dが4人となっております。つまり、下位ランクはほとんどなく、評価が任用や給与へ反映はされていません。

5段階評価の分布を明確にし、評定を的確に待遇に反映させ、職員のモチベーションを引き出し、組織を活性化していく必要があります。

 

第3.給与に関して

これまで人事委員会勧告は、一部の民間企業の給与のみを水準としてきました。これでは、実際の民間企業の状況とはかけ離れてしまっていました。また自治体の財政状況も反映されていませんでした。

「同一労働同一賃金の原則」を徹底し、民間の基準と同様にしていかなければなりません。

 

第4.懲戒・分限処分に関して

これまで、指針やガイドラインにより、処分が定められていました。しかしながら、職員の不祥事はあとをたたず、不適格、能力不足、仕事に対する使命感の欠如などの問題が市民の行政に対する不信感を増しています。それは組織が組織自体に対しておこなう規律には甘さが生じ、職員による職員の処分の限界を露呈しています。

 

「地方公務員法第28条 職員の意に反する降任、免職、休職および降給の手続き及び効果は条例で定めなければならない」また「地方公務員法第29条 職員の懲戒の手続きおよび効果は、条例で定めなければならない」とあります。

 

職務命令違反については、民間企業では上司の職務命令に従うのは当然のことであり、職務命令違反に対しては懲戒・分限処分する必要があります。

 

また「地法公務員法第28条4号 職制若しくは定数の改廃または予算の減少により廃職または過員を生じた場合には、職員が、その意に反して、これを降任し、または免職することが出来る」とありますが実際にはなされていません。現業職を廃止しても現業職員を一般職に安易に職種転換し、業務の効率性や市民サービスの向上に反してきたのです。

 

手続きを定めた上で、組織の改廃が議会で議決されたときは、分限処分を行うべきです。

 

第5.天下りに関して

天下りは根絶していかなければなりません。関連団体への再就職の禁止、再就職のあっせん禁止、再就職者による依頼も規制していかなければなりません。天下りの根絶は、職業選択の自由を制限するという点もありますが「憲法第22条 何人も、公共の福祉に反しない限り、職業選択の自由を有する」とあり、社会全体の厳しい雇用状況、民間企業の不振がある中、公務員の退職後の雇用を公金により、守ることは到底市民の理解が得られず、公共の福祉に反することから、天下りは根絶するべきです。

 

第6.人事監察委員会の設置に関して

冒頭申し上げた日本国憲法第15条「公務員の選定・罷免権は国民の権利である」を実現するため、民間からの人材また公募委員を含む人事監察委員会を設置し、懲戒、分限処分、天下りについて、調査、勧告などを行います。それにより、行政に対する市民の信頼を取り戻します。

 

さて、我々が第三者に依頼し、実施したアンケート調査の結果、職員基本条例に対する賛成は、約80%の賛同をいただいております。民意を代表する議会として、改革は着実に実行していかなければなりません。

 

国においては政権交代から一向に進んでいなかった地方分権も、片山前総務大臣の尽力により、先月「地域の自主性および自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」(第二次一括法が可決・成立しました。この法案は基礎自体への権限委譲と義務付け・枠付けの見直しと条例制定権の拡大であります。また第30次地方制度調査会が発足し、住民の意向が自治体運営に反映できるような地方自治法の改正や大都市制度のあり方を審議することになります。

 

地方自治体も国に対して、権限がほしい、財源がほしいと懇願し続けるだけでなく、更なる権限を持つに相応しい能力を示すことにより、国の地方分権の推進に積極的に働きかけることが必要であります。そのためにも国がなしえることができなかった改革(安倍内閣で渡辺行革大臣の目指した)公務員制度改革を、全国で最も多くの職員を保持し、最大予算規模の大阪市が実現し、地方分権を主導する責任を担っています。

 

また、さらに、賛成の立場から討論も行いました。

 

 

(賛成討論を行う井戸正利議員)

 

 

この大阪市役所は、平成16年に職員厚遇問題で市民から強い批判を受けました。当時の関市長が出直し選挙までされて、公務員の労働組合のとの関係を断ち切り、特殊勤務手当や給与表の大幅見直し、人事考課制度などの改革を断行されました。しかしながら、労働組合が御推薦の平松市長に変ってからは、関市長の改革を引き継ぐという言葉とは裏腹に、技能労務職や年功序列で係長等になった行政職職員に高い給料が維持されております。職員による覚せい剤使用や強制わいせつなどの重大な不祥事もいっこうに減っておりません。

 

そうした中、我々大阪維新の会は、本年4月に執行されました統一地方選挙で、橋下知事が大阪府で行ったのと同様の行政改革を進め、公務員の人件費削減を大阪市でも行うことを訴えてまいりました。この職員基本条例は年功序列の給与体系や甘すぎる現在の懲戒処分などを見直し、肥大化した大阪市の行政組織を政治主導で速やかにスリムにすることを目指したものであります。

 

大阪市役所では、これまでほとんど規則や要綱指針などで職員の懲戒処分や人事考課などを行ってきました。それは法律違反というわけではありませんが、職員の職員による内部統制であって、市民代表である議会のチェックをほとんど受けることなく、長年にわたり、市長の支持母体である市労連により、都合の良い形で進められてきて、その結果起こったのが職員厚遇問題であり、多くの不祥事なのです。われわれ大阪維新の会は、選挙で選ばれた議会がその責任として条例を定め、それに基づき市長その他の任命権者が職員の人事を行うことが必要と考えます。

 

第一に職員の分限についてですが、地方公務員法において勤務実績が良くない場合や心身の故障のため職務遂行に支障がある場合はもちろん、職制や定数の改廃又は予算の減少により免職することができると規定されています。われわれは人口当たりで横浜市の二倍近い職員を抱える肥大化した大阪市役所を、迅速にスリム化するためには不要な事業の廃止はもちろん、経営形態の変更を進める必要があり、必要となる地方公務員法に基づく分限免職について、公平に手続き等を進めるための条例を規定することが必要です。

第二に、意欲のある職員の職務執行に報いるため、勤務成績に対応した昇給・勤勉手当の支給、さらには公募に応じて幹部職員への抜擢も行い、やる気があり仕事で成果を残した職員にはそれに応じた昇任・昇進をする、働いた職員はしっかり報われるようにするものです。

 

第三に、天下りの根絶を定めています。大阪市役所は、これまで大型開発を行い、巨大な公共建築物を建造し、それに関連した事業や建物等の管理運営を天下り団体に独占させて、多くの事業を破綻させ、OBの役員にはそれでも荒稼ぎを続けさせる一方、莫大な市民の税金を無駄にしてきました。また大型開発以外でも、多くの天下り団体に多くの事業を随意契約で委託し、民間の中小企業の参画機会を奪い、職員OBだけが甘い汁を吸ってきました。本条例による天下り禁止と、我々の進めようとする天下り団体の全廃は、根本からそういった職員OBに甘い大阪市役所の体質をなくし、市民の納めた税金を市民の手に取り戻すことも目指しています。

 

第四に、本条例の大きな特徴として、人事に市民参加を求め、市長の補助機関として人事監察制度を導入している点です。公務員の選定・罷免権を憲法上国民に保障していることに思いを致し、これを制度化した点で全国のさきがけとなるものと考えます。