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平成22年度大阪市公営・準公営企業会計の決算報告の認定に反対いたしました。

議会活動2011年10月27日

先日10月25日、我が会派は、平成22年度大阪市公営・準公営企業会計の決算報告の認定に反対いたしました。

 

(反対討論を行う守島正議員)

 

 

この度の決算は予算に対して、数字上はプラスに見せている材料が多いですが、その実態はある種、マジックを使っているともいえます。

 

例えば、全ての会計において、予算時に予定していた退職者よりも、実際の退職人員は、大幅に少なく、自治体においては民間と違い、退職金の引き当てを行っていないため、退職金をその都度、費用計上するという状況から、退職者が予算より少なかった結果として、決算上、人件費が削減されて、費用が下がり、損益にプラス影響を及ぼしているのが現状です。

 

一見、人件費を削減し、予算目標を超える経営成果を達成していると見せてはいるものの、完全にこれは、数字上のレトリックであります。

 

そのほか、埋め立て事業においても、簿価と時価に大きな隔たりがあり、土地の売却が進まなかったおかげで、費用が少なく見えていますし、水道事業においては、給水装置整備事業が予算に比べて大幅に進まなかったおかげで、費用が少なく見えているなど こうした事例も多いのが現状です。

 

このことから、当決算が予算目標をクリアしたとは言えず、数字上のマジックで、体裁を保っているように見せていることは明白であり、このようなH22年度決算は、我が会派として認めることができません。

 

以下 個々の会計についてもご指摘させて頂きます。

まず、中央卸売市場事業会計について。

この市場会計では、すでに予算段階で破たんしている企業であるという状況にも関わらず、売上高使用料や施設使用料を含め、予算に対する収益達成率が約88%と、その予算にすら到達できない状況となっています。この原因として、取扱量の減少と業者の統廃合などから、賃料収入が大きく減少していることがあげられます。

市場の場合、産地直送の増加という流通状況の変化により、水産物などで、市場を通さない流通が3割にも達するといったように、市場の卸業者、仲卸業者の経営が圧迫されている状況となっております。業者数につきましても、昨年度、卸業者が7社から6社に減少、仲卸業者についても、403社から382社と20社以上の減少という結果となっております。

 

このように、当会計の収益悪化というのは産地直送の増加という根本的な市場ニーズの減少を示唆しております。

つまり、根本的な問題として認識できるものに対して、甘めの予算設定をしたため、決算ベースでは、この度の予算未達状況を作っていると考えます。

実際に、経営健全化計画に記載されている本年度の目標総取扱高についても近年の推移から考えて、到底ありえない数字となっており、すでに経営健全化計画自体が破たんしているといえます。

このことを踏まえると、根本的な問題を解決しない限り、今後も予算と決算の乖離というのは続くことが予想できます。

また、収益状況の悪化を見越して、22年度中に「ゆとりとみどり振興局」を業務管理棟に入居させています。

業務管理棟は、本来、卸業者、仲卸業者など市場関係者が入居するべきものであって、「ゆとりとみどり振興局」は市場業務に全く関係ありませんので、この入居は、根本的な収益悪化の問題をやわらげるために、付け焼刃の対策をとっているに過ぎません。

我々は、予算と決算の根本的な乖離理由を解決できていない、当会計を、予算をないがしろにするものとして、承認する訳にはいきません。

 

次に港営事業会計においては、港湾事業に関して、平成22年度土地売却収益 予算額89億6100万円に対し、決算額1億6千万円となっております。

この営業成果と、予算に対する乖離は大きく、達成率は到底認可できるものではない上、この埋め立て事業の穴埋めとして使用していた港営事業会計資金剰余額も残り10億3500万円となっております。

埋め立て事業の決算悪化は、そのまま港湾局の決算に反映されておりますが、本質的な問題を指摘いたしますと、予算時は収益218億500万円、費用238億7600万円 当年度損益、20億7100万円の赤字だったことに対し、 決算では収益が大幅に減って127億4200万円、費用136億200万円 当年度損益 8億6000万円の赤字となっていることです。

土地の売却が全く進んでいないにもかかわらず、予算より損失が12億1100万円少なくなっており、一見するとプラスに転じたと見えますが、これは実際の経営を表すものではありません。

要は造成にかけた経費に対して、市場価格が低くなっている現象が起きているため、埋め立て売却事業は売れば売るほど赤字が増え、ただキャッシュを廻すためだけに売却を促進しているに過ぎないという状況が起こり得るのです。

 

当会計では、資産が簿価になっていないため、本質的な論点を見逃し、造成地の売却をしても自転車操業を続けるだけで、会計的な解決には至りません。

この事業においても、経済環境の激変及びアジアの台頭が考えられる中では、大阪港 港湾計画書が成立しにくくなっております。まずは現状認識を行い、戦略の抜本的見直しを図らなければ当会計は事業として成立しないのは明白です。

 

次に病院事業会計では、3病院の患者数が予算に対し大幅に少なく、市民ニーズに応えられていないと言えます。

病床利用率は総合医療センターの予算では90%に対し決算80.1%と10%近く下回っており、住吉市民病院に至っては85.4%に対し63.5%と20%以上も下回っています。

また十三市民病院では元々医療法上の許可されている病床数279床のところ、患者数が少ないので241床で計算を組んでいるにかかわらず、予算85.1%に対し78.5%と低迷しています。

外来患者数も、総合医療センターは予算に達するものの、十三市民病院が予算時よりも約1割、住吉市民病院では約3割と下回っている状況であり、地域のニーズを十分に汲み取れていない結果がでております。

また、十三市民病院は、未だに地域の医療機関などからの紹介率が24.5%と低迷しており、夜間の緊急紹介のために日曜祝日以外は医師等を待機させているものの 年間77件しか受け入れがないのが実情で、地域の医療機関との連携が不十分で、公的病院の役割を果たしているとは言えない状況であります。

病院会計全体は黒字ではありますが、診療報酬改定により高度医療を行っている市立総合医療センターの黒字が大きくなったため、その部分で、他の2病院の赤字をカバーしているような状況であります。

次に、水道事業に関しては そもそも予算段階で、リーマンショック以降の給水収益減少率を織り込んでいたため、予算に比べて給水収益は大幅増加となっていますが、収益事体は減っています。   また、物件費の減少で費用削減しているように見えますが、これも給水装置整備事業という引き込み管を水の安全・安定供給のためにビニール管に変えるという事業が予算では53㎞としていたのが、決算では36kmと、整備状況が全く予算に達していないため、費用がかからなかっただけです。

当会計は、予算に対しての大幅な利益増という絵姿に見えているものの、実際には整備事業の遅れを招いていることが本質であることを踏まえると、決算を承認させて頂くことはできません。

 

次に高速鉄道事業に関しても、水道事業と同様、そもそも予算段階で、リーマンショック以降の乗客減少率を織り込んでいたため、予算に対する運輸収益は大幅増加となっていますが、収益事体は減っており、予算達成の実情は、目標設定の低さに起因するだけです。また、自動車運送事業においては、そもそも営業収益に対する人件費比率が約8割と、他の自治体と比べて 大幅に高いにかかわらず、冒頭に述べた予算上の退職人員と、実際の退職者数の乖離は13名と大きく、人件費率が高いなか、予算上の職員数の削減目標を達成していないことを踏まえると、この決算においても承認できる状況ではありません。

また、当 公営・準公営企業会計決算特別委員会では、市営地下鉄の8号線延伸に対する質疑や、赤字責任に対する質疑もあった上で、行政側は延伸に対する明言は行わなかったにもかかわらず、委員会が終了していない中、質疑は終了したのち、間もない10月19日に 平松市長は、私的な会合において 地下鉄8号線の延伸に対して、次の任期中にめどを立てると、肯定的な発言を行いました。

年間80億円以上に達する赤字を発生させている地下鉄8号線の延伸や赤字責任に対し、委員会上では明言を避けながらも、私的な会合では、8号線の赤字に対する責任も気にせず、肯定的な発言を行う。これは、明らかに議会軽視だと言えます。

意思があるのであれば、発言する場が違います。局長以下、職員の皆様にも伝えて、委員会でしっかり対応するべきだったのではないでしょうか?

このように、市長が議会を軽視していることは、忌々しきことであり、これを指摘させて頂くとともに、これまで述べたように、H22年度決算は、予算目標を達成できていないにもかかわらず、数字上では、都合よく見える点が多く、行政執行の欠陥が明らかな、当決算については、到底納得できるものではないという理由から、我が会派は、当決算を認める訳にはいきません。